こんにちは。
加須市の神澤歯科医院です。
歯周病は中高年の病気だとお考えではありませんか?
年齢と共に発症する方の割合が増加するのは事実ですが、じつは、子どもも歯周病にかかることがあります。
実際に、2022年に行われた歯科疾患実態調査では、10〜14歳の40.2%に歯ぐきからの出血がみられます。
(参考:厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査結果の概要」p21 表18) >
歯ぐきからの出血は歯周病の初期症状の一つです。
歯周病には、歯ぐきが炎症をおこす「歯肉炎」、歯肉炎が進行して歯を支えている歯周組織が破壊される「歯周炎」と段階的に進行します。
子どもの場合は、「歯周炎」まで進行するケースは少なく、「歯肉炎」の症状を抱えていることが多く見られます。
「歯肉炎」だから大丈夫なのではなく、「歯肉炎」をそのままにしていると、「歯周炎」へと進んでいく可能性が高いと考えられますので、できるだけ早く治療を行うことが大切です。
ここでは、子どもの歯周病について詳しくお話しします。
神澤 紀雄 院長
日本大学松戸歯学部 卒業
子どもならではの歯周病の種類を4つ紹介します。
萌出性歯肉炎は、6歳臼歯や12歳臼歯など、新しく永久歯が生えてくる際によくみられます。
永久歯は生えてくるまでに時間がかかり、完全に生えてくるまでの間は、一部が歯ぐきに埋まっていて歯磨きが難しい状態です。
さらに、生えたての奥歯の溝は深いため、汚れが溜まりやすく、汚れが溜まった溝を歯ぐきがふさいでいるような状態となっていることもあるのです。
このように、歯が生える途中の歯ぐきの状態が原因で起きた炎症を「萌出性歯肉炎」とよびます。
この炎症は、一時的なもので、歯がしっかり生えるとおさまるケースがほとんどです。
歯ぐきが腫れるだけでなく痛みを生じることもありますので、しっかりと仕上げ磨きをして清潔な状態を保つようにしましょう。
歯ぐきの腫れや出血が見られたら、お早めに歯科を受診してください。
不潔性歯肉炎は、大人の歯周病と同じで、歯磨きが十分にできていないことで歯垢(プラーク)が溜まって発症します。
子どもの場合は、歯磨きをする際に力を入れすぎて歯ぐきを傷つけてしまうことがあり、お口の中に細菌を含む歯垢(プラーク)がある状態で、歯ぐきを傷つけたときに細菌が感染して炎症を起こすケースも多く見られます。
また、口呼吸が習慣になっているお子さまのお口の中は、乾燥しやすく、唾液の分泌量が少ない状態です。
唾液には汚れを洗い流す役割がありますので、その唾液が少ないということは、歯垢(プラーク)が溜まりやすいといえます。
毎日丁寧に歯を磨くのが基本ですが、定期的に歯科のメンテナンスを受けて、歯垢や歯石を除去することで症状の改善が期待できます。
主に小学校高学年から中学生・高校生の、いわゆる思春期とよばれる時期に見られる歯肉炎が「思春期性歯肉炎」です。
この時期は、成長に伴いホルモンのバランスが崩れやすいという特徴があります。
特に女性の場合は、歯周病菌が好むプロゲステロンやエストロゲンといった女性ホルモンの量が増えることで、歯周病にかかりやすくなります。
また、部活や塾などで帰宅時間が遅くなったり、外で食事をとったりすることが多くなり、食生活も乱れがちな時期です。
むし歯も増える時期でもありますので、しっかりと毎日のケアに取り組むことが大切です。
セルフケアに加えて、歯科医院でのクリーニングも定期的に受けるようにしましょう。
侵襲性歯周炎とは、若い世代に発症する歯周炎で、以前は若年性歯周炎とよばれていました。
10代で発症する方や30代で発症する方など発症のタイミングは患者さまによって異なりますが、症状が急速に進行するのが特徴です。
家族内で発症するケースが多いのも特徴の一つで、遺伝的な要因も考えられます。
全体的に症状が現れる「広範型侵襲性歯周炎」と前歯と6歳臼歯付近に症状が限定される「限局型侵襲性歯周炎」があり、どちらのケースでもAa菌(アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス-ActioacilluActiomycetemcomita-)や、多くの歯周病の原因菌であるPg菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス-Porphyromonas gingivalis-)の影響が大きいとされています。
Aa菌は大人から子どもへ移りやすいとされていますので、お子さまを歯周病から守るためには、ご家族皆さまがお口を健康な状態に整えておくことが必要です。
侵襲性歯周炎になると、急速に歯を支えている骨(歯槽骨)が溶かされて、歯がグラグラするようになります。
発見が遅れると、若いうちに歯を失う可能性があります。
早期発見・早期治療が大切ですので、おかしいなと思うことがあればすぐに歯科を受診してください。
子どもの歯周病予防も大人と同じで、原因となる歯垢(プラーク)の除去が基本です。
毎日のセルフケアの精度を高めて、定期的にプロのケアを取り入れることで、効果的に予防することができます。
お子さまのお口の中は、乳歯が生えてから、永久歯へと生え変わるまで常に変化している状態です。
お口の中が変化しているのに歯磨きの方法が変わっていなければ、磨けていない場所があるのは当然のことでしょう。
特に、生え変わりの時期は、歯の高さが揃わないことが多く、磨き残しが多くなる傾向にあります。
また、甘いものを好んだり、自宅以外での飲食が増えたりすることで、お口の中は不衛生な状態になりがちです。
・「食べたら磨く」を習慣にする
・夜寝る前に特に丁寧に磨く
・小学校のうちは仕上げ磨きを行う
ということをご家族皆さまで共有して、お口の健康維持に努めましょう。
毎日がんばって歯を磨いていても、歯ブラシ1本だけでは、落とせる汚れに限界があり、6割ほどとされています。
特に、歯と歯の間は、歯ブラシの毛先が届きにくく、歯垢が溜まりやすい部分です。
デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、汚れの除去率は大幅に上がりますので、積極的に取り入れるようにしましょう。
「子どもにはまだ早い」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、歯と歯の間がせまくなってくる2歳ごろから使用するのがおすすめです。
いきなりお子さまにデンタルフロスを渡すのではなく、まずは仕上げ磨きの際に取り入れてください。
特に気になるところがなくても、定期的に検診にお越しください。
定期検診では、お口の中をすみずみまでチェックし、むし歯や歯周病の症状がないかを確認します。
むし歯や歯周病は、初期の段階では自覚できる症状がほとんどないため、気付かないうちに進行することがよくあります。
定期検診に通っていれば、病気の早期発見・早期治療が可能です。
早期に発見しすぐに対応すれば、歯に与えるダメージも最小限に抑えることができます。
また、定期検診では歯磨き指導も行っていいます。
お口の変化に合わせた磨き方を丁寧にお伝えし、毎日のセルフケアをサポートしていますので、どのようなことでもご相談ください。
歯の表面が汚れていれば、プロのクリーニングで徹底的に汚れを除去します。
ほかにも、歯周病の原因がかみ合わせや歯並びにある場合は、矯正治療などをご提案することもあります。
お口の中で気になることがあれば、定期検診を待たずに、できるだけ早く受診することが大切です。
歯周病を防ぐには、生活習慣を見直して健康的な生活を送ることも重要です。
栄養バランスの取れた食事や十分な睡眠をとり、免疫機能を高めて歯周病の発症を抑制しましょう。
また、しっかりと噛むことで唾液が分泌されて、むし歯や歯周病にかかりにくくなります。
お子さまの歯ぐきに気になることがあれば、ご自身で判断せずにまずは受診してください。
お子さまの歯肉炎をそのままにしていると、将来的に歯周炎へと進行するリスクが高くなるリスクがあります。
生活習慣を見直したり、お口のケア方法を替えたりすることで、改善される可能性がありますので、どのようなことでも自己判断せずにご相談いただくことが大切です。
当院では、年齢やお口の発育状態に合わせて適切なケアをご提案します。
歯周病は、いつ誰がなってもおかしくない病気ですので、ご自身はもちろんですが、お子さまの歯ぐきもしっかりとチェックするようにしてください。
加須市の「神澤歯科医院」は東武伊勢崎線「加須」駅から徒歩2分と駅からも近く、電車での通院も便利です。
駐車場は20台停められる広いスペースが確保されていて、駐車場から院内までは、スロープをご利用いただけるバリアフリー設計です。
土曜は17時まで・平日は18時まで診療していますので、お仕事やご家族の都合に合わせて通院時間をお選びください(2024年2月現在)。
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